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情報システムコラム

【テンプレート付き】ライセンス違反を防ぐ!ソフトウェア管理台帳の作り方と運用ポイント解説

本記事では、社内のソフトウェア管理における基本的な考え方から、「ソフトウェア管理台帳」の作成方法、そして効果的な運用ポイントまでを解説します。さらに、運用をスムーズに進めるためのテンプレートもご用意していますので、これを活用して、実践的なソフトウェア管理と棚卸を行ってください。

ソフトウェア管理とは?

ソフトウェア管理とは?

ソフトウェア管理とは、組織内で使用されるソフトウェアとそのライセンスの利用状況を管理するプロセスです。主な目的は、ライセンスの過不足を防ぎ、ソフトウェアのバージョン管理を行い、セキュリティリスクを低減することです。これにより、企業はコスト削減セキュリティ強化、さらにコンプライアンスの遵守を実現できます。

ソフトウェア管理とライセンス管理の違い

よく耳にするライセンス管理ソフトウェア資産管理(SAM)との違いは何でしょうか。ライセンス管理は、ソフトウェアの使用許諾契約に基づき、ライセンスの取得、更新、遵守状況を管理するプロセスです。ソフトウェア管理と焦点が異なるものの、共通する目的はセキュリティ強化コンプライアンス遵守、そしてコスト削減の3つです。

また、ソフトウェア資産管理(SAM)は、これら2つのプロセスを含む広範な概念で、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアやライセンスなどの資産全体を管理します。SAMは、技術的なソフトウェア管理と法的なライセンス管理を統合し、資産の最適化とコンプライアンスの確保を目指しています。このように、ソフトウェア管理とライセンス管理は密接に関連し、切り離すことができない重要な要素です。

ライセンス管理の業務

ライセンス管理の業務内容

ライセンス管理の業務には、さまざまな重要なプロセスが含まれています。

・ライセンス取得: 必要なソフトウェアライセンスを購入し、組織内のユーザーに適切に配布します。

・ライセンス監査: 使用状況を定期的に監査し、ライセンス違反を防止します。

・ライセンス更新: ライセンスの有効期限を管理し、必要に応じて更新します。

・ライセンス廃棄: 不要になったライセンスを適切に廃棄し、無駄なコストやリスクを回避します。

これらのプロセスを通じて、ライセンス管理は組織のコンプライアンス維持やコスト削減を支える重要な業務となります。

ライセンス管理の担当部署

ライセンス管理を担当する部署は、通常情報システム部門(情シス)やIT部門です。この部署は、ソフトウェアライセンスの取得更新監査、および廃棄を行い、ライセンスの適正な利用を確保する役割を担っています。

また、ライセンス管理ユーザーは、ソフトウェアライセンスを使用する個々のユーザーを指し、ライセンス契約に従い適切にソフトウェアを利用することが求められます。これにより、ライセンス違反を防ぎ、組織全体のコンプライアンスを維持します。

情シスによるライセンス管理は、組織内のすべてのソフトウェアライセンスを一元的に管理し、ソフトウェアのインストールや更新、監査、廃棄を行うことでライセンスの適正利用を確保します。

中小企業におけるライセンス管理の課題

中小企業では、ライセンス管理に関していくつかの課題が存在します。

まず、情報システム担当者が一人で社内のライセンス管理やトラブル対応を行っているケースが多く見られます。社員数が少ない場合は対応可能ですが、数十人から数百人規模に成長すると管理が追いつかず、ライセンス管理が不十分になる傾向があります。その結果、効率的な運用が難しくなり、セキュリティリスクが高まる可能性があります。

さらに、入社や部署異動の時期に業務負担が集中することも大きな課題です。新入社員のライセンス発行や異動に伴う既存ライセンスの変更、削除作業が年度末や新年度に重なり、業務量が急増しミスが起こりやすくなります。

加えて、IT専門ではない総務部門がライセンス管理を兼務することも問題です。ライセンス管理には専門的な知識が必要ですが、他の業務と並行して管理するとミスや管理不備が生じやすくなり、負担も非常に大きくなります。これらの課題がセキュリティリスクや業務の非効率性を引き起こす要因となっているのが現状です。

ライセンス管理の重要性

ライセンス管理の目的

ライセンス管理の主な目的は、セキュリティ強化コンプライアンス遵守、そしてコスト削減です。まず、セキュリティ強化では、古いバージョンや不正なソフトウェアの使用を防ぎ、企業のセキュリティリスクを低減します。

また、ライセンス管理によってソフトウェアが適切に使用されているかを監視し、不正利用を防ぐことができます。さらに、コンプライアンス遵守の観点からは、ソフトウェアの使用許諾契約を守ることで法的リスクを回避します。違反があれば、訴訟や罰金のリスクが生じるため、適切な管理が不可欠です。

そして、コスト削減では、余剰ライセンスを発見し、無駄なライセンス購入を防ぐことが可能です。これにより、ライセンスの重複購入や不足に伴うコストリスクを削減し、企業のIT資産の最適な管理を実現します。

ライセンス管理が企業にもたらす効果

ライセンス管理は、IT資産管理の一環として、企業が保有するハードウェアソフトウェアといった資産全体を管理し、適切に運用することに寄与します。これにより、ソフトウェアの適正な利用が確保され、IT資産の最適化が図られます。

また、ライセンス管理情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の一環としても重要な役割を果たしています。ISMSの要求事項に基づきライセンスを管理することで、企業はセキュリティリスクを低減し、法的リスクを回避できます。ISMSとは、企業が保有する情報資産を適切に保護し、情報セキュリティを維持するためのプロセスを指し、ライセンス管理はその中核を担っています。このように、ライセンス管理は資産管理情報セキュリティの両面から、企業の運営に大きな効果をもたらします。

ソフトウェア管理の方法

ソフトウェア管理台帳を使った管理方法

ライセンス管理の管理方法の一つとして、Excelのソフトウェア管理台帳を使用する方法があります。ソフトウェア管理台帳とは、企業や組織が所有するソフトウェアの使用状況を記録・管理するための台帳です。Excelは多くの人にとって親しみやすく、簡単に始められるため、コストを抑えながらアカウント情報を管理できる点が大きなメリットです。特に、専門的なツールやシステムを導入せずに利用できるため、初期投資が不要で、手軽に管理を始められます。

Excelを用いたソフトウェア管理台帳は、中小企業などで頻繁に活用されており、シンプルかつ効率的にライセンス情報や利用状況を把握するための有用な手段となっています。

ライセンス管理ツールを使った管理方法

ライセンス管理ツールとは、ソフトウェアライセンスをクラウド上で管理する方法です。この管理方法のメリットは、物理的なドングルやローカルPCに依存せず、どこからでもアクセスできる点にあります。また、ライセンスの更新や管理が容易で、運用効率が高まります。代表的なツールとしてMicrosoft Entra IDがあります。これは、クラウドベースのIDおよびアクセス管理サービスであり、ライセンス管理機能も含まれています。

しかし、これらのライセンス管理ツールを効果的に使いこなすには、IT資産管理に関する基本的な知識が不可欠です。ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク運用に関する理解が深いほど、ツールの活用がスムーズになり、システム全体の管理が効率化されます。Microsoft Entra IDなどのIDaaSの活用によって、企業はセキュリティ強化効率的な運用を実現でき、IT資産の適切な管理が可能です。

「IT with」では、Microsoft Entra IDをはじめとするIDaaSの活用をサポートしています。ライセンス管理の専門知識を持つスタッフが、効率的な運用をサポートし、企業のセキュリティ強化をお手伝いします。詳しい資料はダウンロードできますので、ぜひご確認ください。

ソフトウェア管理台帳の作り方

最低限必要な情報

「ソフトウェア管理台帳」に最低限必要な情報を以下にまとめます。この項目を入れることで、最低限なアカウント管理が可能になります。

・バージョン情報(最新)

・サポート情報

・ライセンス有効期限

・管理責任者氏名

最低限必要な情報以外の項目は、以下に例をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

ソフトウェア情報

まずは「ソフトウェア情報」です。ソフトウェア名、バージョン情報、サポート情報、供給元を記載します。

項目定義記載例
ソフトウェア管理番号ソフトウェア管理番号は、各ソフトウェアを一意に識別するための番号です123
ソフトウェア名管理対象のソフトウェアの名称です。○○○人事管理
バージョン情報(最新)ソフトウェアの最新バージョン番号やリリース情報です。Ver.1.0.8
サポート情報ソフトウェアのサポートに関する情報(サポート終了日、サポート窓口の連絡先など)。サポートセンターTel)xx-xxxx-xxxx
供給元ソフトウェアを提供する企業やベンダーの名称です。××××株式会社

ライセンス情報

次に、「ライセンス情報」です。ライセンス情報、ライセンス数、残ライセンス数、ライセンス有効期限を記載します。

項目定義記載例
ライセンス情報ソフトウェアのライセンスに関する詳細情報です。ボリュームライセンス(15ユーザまで)
ライセンス数(全量)ソフトウェアの最新バージョン番号やリリース情報です。15
残ライセンス数(利用可能)ソフトウェアのサポートに関する情報(サポート終了日、サポート窓口の連絡先など)。5
ライセンス有効期限ソフトウェアライセンスの有効期限です。2025/12/31

利用状況

次に、「利用状況」の情報を記載します。これには、ユーザー部門、利用目的とステータスが含まれます。

項目定義記載例
管理部門(管理ユーザー)ソフトウェアのライセンスを利用する部門や部署です。人事部
利用目的ソフトウェアがどのような目的で使用されるかを示します。人事管理
ステータスソフトウェアの現在の使用状況や状態を示します。利用中、停止中

管理責任者情報

最後に、「管理責任者情報」を記載します。

項目定義記載例
管理責任者氏名ソフトウェア管理の責任を持つ担当者の氏名です。田中 太郎
管理責任者社員番号管理責任者の社員番号で、社内で一意に識別される番号です。12345
管理責任者メールアドレス管理責任者の連絡先メールアドレスです。tanaka.taro@example.com
購入/取得日ソフトウェアが購入または取得された日付です。2023/1/1
棚卸実施日(最新)最新のソフトウェア棚卸が実施された日付です。2024/9/30

今すぐ使えるソフトウェア管理台帳のテンプレート

無料でダウンロード可能なソフトウェア管理台帳のExcelテンプレートを用意しましたので、ぜひご活用ください。

ソフトウェア管理の運用ポイント

継続的な管理体制の構築

ソフトウェア管理のためには、継続的な体制を整え、運用を維持することが重要です。まず、管理の第一歩としてソフトウェア管理責任者を選任し、その役割を明確にすることがポイントとなります。

また、ポリシーの策定も必要で、ソフトウェア管理に関する手順やルールを文書化し、全社員に周知することが求められます。これらの管理体制ポリシーは、定期的に見直しを行い、状況に応じて更新することが大切です。さらに、社員に対してソフトウェア管理の重要性を教育し、適切な使用方法を訓練することで、管理の効率化とリスク低減を図ることができます。

ソフトウェア使用状況の定期棚卸

企業や組織が所有するソフトウェアやサービスのライセンス使用状況を確認し、正確な数を把握することが重要です。まず、所有する全てのライセンスをリストアップし、次に各ライセンスの利用状況を詳細に調査します。その後、使用状況と契約内容を照らし合わせてライセンスの過不足を確認し、不要なライセンスを解約し、必要に応じて追加するプロセスを行います。さらに、ライセンスの管理を常に最適化するためには、定期的な見直しが重要です。最新のライセンス状況を維持することで、ライセンスの無駄を削減し、効率的な運用が可能となります。

ソフトウェア管理台帳で最低限のライセンス管理を実現しよう

企業が直面するライセンス違反のリスクを防ぐために、ソフトウェア管理が重要です。ライセンスの棚卸や定期的な使用状況の確認が重要であり、責任者の選任やポリシーの策定といった継続的な管理体制の構築が求められます。ライセンス管理は、コスト削減コンプライアンス遵守セキュリティ強化につながるため、定期的な見直しと最適化が不可欠です。また、IT withでは、ソフトウェア管理代行サービスを提供しており、セキュリティの専門家がサポートすることで、より高度で効率的なライセンス管理が可能となります。これにより、IT業務の効率化だけでなく、セキュリティの高いIT環境を実現できます。IT withでは無料相談も行っておりますので、ソフトウェア管理に関する悩みがあれば、ぜひ気軽にご相談ください。

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