ITトラブルシューティングの基本|対応プロセスと実施時のポイント
ITシステムを運用している中で、大小さまざまなトラブルは日常的に起こり得ます。システムの不具合やユーザーの困り事を解決するのが「ITトラブルシューティング」の役割です。
本記事では、IT関連の代表的なトラブルや対応時の基本的なプロセス、トラブルシューティング実施時のポイントをわかりやすく解説しています。トラブルシューティングを外部委託するという選択肢についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
トラブルシューティングとは
そもそもトラブルシューティングとは何をすることなのでしょうか。一般的なトラブルシューティングの定義と、IT関連の代表的なトラブルについて確認しておきましょう。
問題の原因を突き止めて解消する作業
トラブルシューティング(トラブルシュート)とは、何らかの問題が発生した際にその原因を突き止め、解消する作業のことを指します。IT分野で良く耳にしますが、本来はその他の分野においても使われる言葉です。
ITトラブルシューティングは、システムの不具合やユーザーの困り事を解消する取り組みです。ITシステムを運用している組織においては、システム自体のトラブルからユーザーの疑問解消まで、さまざまな課題が発生します。こうした課題を迅速に解決するとともに、再発防止策を講じることもITトラブルシューティングの重要な役割の1つです。
IT関連の代表的なトラブル
IT関連のトラブルには、大きく分けて「ハードウェア関連」「ソフトウェア関連」「ネットワーク関連」の3パターンがあります。
- ハードウェアに関するトラブル 例)プリンターの設定不良など
- ソフトウェアに関するトラブル 例)アプリケーションの不具合など
- ネットワークに関するトラブル 例)社内ネットワークにアクセスできないなど
システムそのものに不具合が生じていることもあれば、ユーザー自身の操作ミスや設定ミスが原因となっていることも考えられます。原因によって解決策も異なることから、原因を突き止めた上で的確に対処することが重要です。
トラブルシューティングの基本的な対応プロセス

トラブルシューティングの対応プロセスを紹介します。システムの不具合やユーザーの困り事に直面した際には、次の流れで解決を図るのが基本です。
1. 情報収集
はじめに実施すべきことは情報収集です。具体的に何が起きているのか、発生している事象を明らかにする必要があります。
たとえば、発生時刻や表示されているエラーメッセージ、直前に行われた操作などを詳細に記録していきます。まずは現状をできるだけ詳細に調査し、事実を記録しておくことが重要です。
2. 問題の性質と影響度の判断
次に、問題の性質と影響度を見極めます。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークのいずれに起因するトラブルかを判断し、問題を切り分けるのがポイントです。
一例として、「イントラネットにつながらない」という事象が発生していると仮定します。このとき、別のPCで正常に通信できていることが確認できれば、原因はネットワークではなくPC固有の問題と考えられるでしょう。ネットワーク全体にトラブルが生じている可能性は低いため、影響範囲はPC1台に留まると判断できます。
3. 解決策の実行・検証
特定した原因に対して、解決策を講じます。影響度や緊急度を判断した上で、優先順位を定めて対応していくことが大切です。
まずは優先度の高いトラブルの解決に役立つ方策について仮説を立てます。一度に複数の解決策を講じると、どの解決策が有効だったのかわからなくなってしまいかねません。仮説は必ず1つずつ検証し、問題が解消されたか都度確認するのがポイントです。
暫定措置と恒久措置

トラブルシューティングは、暫定措置(当面の対応)と恒久措置(再発防止策)の2段階に分けて行われます。暫定措置と恒久措置でそれぞれ取り組むべきことは次のとおりです。
暫定措置とは
暫定措置とは、トラブルによる影響を最小限に留めるための措置のことを指します。根本的な解決策を検討する前に、現状発生しているトラブルに当面対応することが主な目的です。
たとえば、問題が発生している機器を一時的に停止したり、障害が確認された箇所をネットワークから切り離したりすることで、組織全体の業務に与える影響を最小化します。暫定措置を的確かつ迅速に実施することは、自社のみならず取引先などの関係者に影響が及ぶのを防ぐという意味においても重要です。
恒久措置とは
恒久措置とは、同様のトラブルが再発することのないよう根本的な解決策を講じることです。暫定措置を施し、当面の解決が確認された後に実施されます。
一例として、ユーザーが同じ操作をすれば再び同種の不具合が生じることが懸念されるケースを考えてみましょう。この場合、設定変更や代替機能の提供が再発防止につながると考えられます。適切な恒久措置を講じることでトラブル再発のリスクが軽減されるほか、同種のトラブルシューティングに要する手間や時間を削減できることも大きなメリットです。
トラブルシューティング実施時のポイント

トラブルシューティングを適切に行うには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。次に挙げる5点を実践して、的確かつ迅速なトラブルシューティングを実現しましょう。
優先順位を見極める
トラブルが発生した順に対応するのではなく、重要度や影響範囲、解決の難度などを総合的に判断した上で、対処すべき優先順位を決定することが大切です。特に異なるトラブルが複数発生している際には、優先度の見極めが適切な対応の可否を決定づけるといえるでしょう。
たとえば、「一人のユーザーがPCの不具合を訴えている」「通常利用に大きな支障はないものの、ネットワークの不具合が確認されている」という2つの事象が同時に発生している場合を考えてみましょう。このケースでは、影響範囲が大きいのは明らかに後者です。ネットワーク全体に重大な不具合が生じる前に、原因を突き止めて対処する必要があります。
場当たり的な対処は避ける
場当たり的な対処に終始しないことも重要なポイントです。その場で問題が解決されたとしても、再現性がなければ同様のトラブルに見舞われる可能性があります。対応方針や検証方法が曖昧なままトラブルシューティングを進めてしまうと、問題が解決されなかったり、解決されたとしても有効な対処方法を判別できなかったりすることになりかねません。
前述の対応プロセスに沿って計画的にトラブルシューティングを進め、暫定措置の完了後は恒久措置を講じることが大切です。
ナレッジの共有化を図る
トラブルシューティングに関するナレッジを組織内で共有することも重要です。既知の問題を共有化することで、同様のトラブル再発を防ぐとともに、同種の問題が発生した際の対応スピード向上を図る効果が期待できます。
具体的には、対応マニュアルや手順書を作成し、関係者がアクセスできるよう保管場所を周知します。「PCに不審な挙動が確認された際には速やかにネットワーク接続を切断する」など、基本的な初動対応を共有するのも効果的です。
問題の根絶を目指す
暫定措置に終始するのではなく、恒久対応を講じることも忘れないようにしましょう。問題の根絶を目指すことによって、より根本的な再発防止策を講じられるからです。
たとえば、特定の操作によってソフトウェアに不具合が生じることが判明したとします。この場合、同様の操作を他の従業員が行う可能性が残されていれば、問題が根絶されたとはいえません。該当する操作そのものを無効化するなど、同種の問題が起こり得ない状態にする必要があります。
外部委託も視野に入れる
トラブルシューティングへの対応は、社内担当者にとって大きな負担となりかねません。複数の事象がほぼ同時に発生し、担当者が並行して対処しなければならないケースも想定されるからです。
情シスの負担軽減を図るとともに、より適切で効果的な対処を実現するには、専門知識を備えた支援サービスの活用をおすすめします。専門家の知見やスキルを活用することによって、トラブルシューティングの対応スピードや対応品質の向上につながるでしょう。
トラブルシューティングを外部委託するという選択肢
トラブルシューティングや社内問い合わせ対応に追われ、情シスがコア業務に集中できない状況に陥るケースは少なくありません。こうした状況を改善するには、トラブルシューティングの外部委託が効果的です。
情シス業務はアウトソーシングできる
情シス業務は社内で担うというイメージがあるかもしれませんが、実は外部の事業者にも依頼できます。業務の部分的なアウトソースが可能な事業者や、情シス業務を丸ごと委託できるフルアウトソースに対応しているBPOサービス事業者が存在するからです。
特にトラブルシューティングに関しては、トラブルの発生件数に波があるケースがほとんどです。BPOサービスを活用することで、必要なタイミングで必要な支援を受けられる体制を構築できます。
ヘルプデスク業務を外部委託するメリット
ヘルプデスク業務を外部委託することで、トラブルシューティングを含む社内問い合わせ対応をBPOサービスに一括して依頼できます。外部委託によって得られるメリットは次のとおりです。
■コア業務に集中しやすくなる
情シス担当者が日々発生するトラブルへの対応に追われなくなり、より重要度の高い業務に集中できる環境を整えられます。たとえばIT投資の費用対効果に関する分析など、より創造的な業務に専念しやすくなるでしょう。
■業務の属人化を防止できる
特定の担当者だけが把握している情報やノウハウが積み重なり、情シス業務がブラックボックス化するのを防げます。恒久措置の提案やマニュアル作成なども含めて依頼できるサービスを選ぶことで、トラブルシューティングの質をいっそう高められるでしょう。
■人的コストの節減につながる
トラブルシューティングは常に発生するとは限りません。複数のトラブルが重なることもあれば、ほとんどトラブルが生じない日もあるでしょう。必要に応じて対応を依頼できるBPOサービスを活用することにより、対応コストの最適化や人的コストの節減につながる効果が期待できます。
■プロフェッショナルの知見を即座に活用できる
専門的な知見を備えたプロフェッショナルのノウハウを、即座に導入できることも大きなメリットです。情シスに求められる知識・スキルは多岐にわたるため、社内育成には時間がかかります。外部のBPOサービスを活用すれば、人材の採用・育成に要する時間や費用をショートカットしつつ、必要な知見を取り入れられます。
「with IT業務支援」の特長
「with IT業務支援」は、お客様のご要望に応じて情シス業務を支援するBPOサービスです。遠隔での支援(リモート支援)とお客様の事業所での支援(オンサイト支援)に対応しています。
【主な支援業務例】
| 業務例 | 概要 |
| キッティング | ・PC初期設定 ・アカウント発行 ・指定場所への配送 |
| ヘルプデスク業務 | ・PC/ソフトウェア/セキュリティに関する相談をサポート |
| PC管理 | ・PC管理台帳の整備/更新 ・棚卸の作業計画、結果報告 |
| アカウント管理 | ・アカウントの発行/削除/設定変更 ・棚卸支援 |
| ドキュメント作成支援 | ・マニュアル/手順書などの作成支援 |
| 動作検証 | ・パラメータ変更に伴う動作検証をラボ環境で実施 |
リモート支援ではタイムチャージ制を採用しています。契約時間内でご要望に応じた柔軟な業務支援が可能です。トラブルシューティングのように、時期や状況によって必要な支援・対応が異なる業務にも柔軟に対応できます。with IT業務支援を活用して、機動的なトラブルシューティングが可能な体制構築を実現してみてはいかがでしょうか。
ITトラブルシューティングを仕組み化しよう
トラブルシューティングは、ITシステムを運用していく以上欠かせない業務です。暫定措置・恒久措置の2段階で対応し、より根本的な解決を図る仕組みの構築が求められています。社内担当者の負荷軽減を図りたい事業者様や、コスト最適化を実現したい事業者様は、トラブルシューティングの外部委託も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
AI×BPaaSで進化する、
次世代のマネージドIT運用へ
ソフトバンクで日々改善され続けている“体系化された情シス運用”を
BPaaSとして拡張し、企業のIT運用品質を飛躍的に向上させます。